はじめに
高畑勲監督の名作『火垂るの墓』は、1988年の公開以来、多くの人々に戦争の悲惨さと家族愛を伝え続けてきました。私が初めて観たのは小学生の頃でしたが、小学生ながらに衝撃を受けた作品です。
近年、この作品がテレビで放映されていないことに気づいた方も多いのではないでしょうか。
なぜ『火垂るの墓』があまり放映されないのか、その背景や理由について考えたいと思います。
『火垂るの墓』の物語
『火垂るの墓』(ほたるのはか)は、野坂昭如の短編小説で、野坂自身の戦争体験を題材とした作品である。兵庫県神戸市と西宮市近郊を舞台に、戦火の下、親を亡くした14歳の兄と4歳の妹が終戦前後の混乱の中を必死で生き抜こうとするが、その思いも叶わずに栄養失調で悲劇的な死を迎えていく姿を描いた物語。愛情と無情が交錯する中、蛍のように儚く消えた2つの命の悲しみと鎮魂を、独特の文体と世界観で表現している作品。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1. 視聴者への心理的影響
『火垂るの墓』は非常に感動的で、重いテーマを扱った作品です。
清太とその妹節子が戦争によって徐々に追い詰められていく姿は、多くの視聴者に深い悲しみや無力感を与えるものです。
特に、子どもが主人公であり、彼らの悲劇的な結末を描くことから、観る側に心理的な負担がかかることが多いです。
このため、気軽に観られる作品とは言い難く、テレビでの放映が避けられる理由の一つかもしれません。
2. テレビ番組のコンテンツ戦略
テレビ局は、視聴率や広告収入を考慮した番組編成を行います。
スポンサーの意図や政治的な見えない力が働いているのでは?と勘ぐってしまいます。
『火垂るの墓』のような重いテーマの作品は、特にゴールデンタイムや家族向けの時間帯では放送しにくいと考えられます。
視聴者層の幅広い支持を得るためには、よりエンターテインメント性の高い、軽めの内容が好まれる傾向があります。
そのため、重厚なメッセージ性を持つ『火垂るの墓』の放映は、慎重に行われているのかも知れません。
3. 戦争をテーマにした作品への賛否
『火垂るの墓』は戦争をテーマにしていますが、その描写が非常にリアルであるため、賛否が分かれることもあります。
一部の視聴者や団体から、戦争の描写が過度に悲惨であるという意見が出ることもあります。
また、近年では戦争に関連するコンテンツ自体がデリケートな話題となっているため、テレビ局側が放送を控える傾向にあるかもしれません。
ただ、高畑勲監督は本作品について「反戦アニメなどでは全くない、そのようなメッセージは一切含まれていない」と繰り返し述べている。また、「本作は決して単なる反戦映画ではなく、お涙頂戴のかわいそうな戦争の犠牲者の物語でもなく、戦争の時代に生きた、ごく普通の子供がたどった悲劇の物語を描いた」とも語っている。
4. Netflixで配信開始
私はどうしても観たいと思いAmazonプライムで検索したり、近所のレンタル屋さんも探しましたが置いていませんでした。
しかし、2024年9月16日より「日本・中国を除く190以上の国や地域」の海外版Netflixで配信開始されています。
まとめ
『火垂るの墓』が放映されない理由は、視聴者への心理的な影響やテレビ番組の編成戦略、戦争をテーマにした作品への賛否など様々な要因があると思います。
ただ、難しいことは抜きにして、この作品は決して色褪せることなく、今後も多くの人に観ていただきたい名作だと思っています。
この作品を通じて、戦争とは何か、その中を生き抜き、そして今の日本を築いて来た人々と、今を生きている自分、今の10代、20代の子供達に観て感じて頂きたい作品だと思います。
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